クリスマスイブ

クリスマスの夜。それをクリスマスイブというらしい。30年前、繁華街を歩くと宝石店の女性スタッフたちに囲まれて、彼女にプレゼントはもうお買いになりましたかと真っすぐ歩くのが大変だったことを思い出す。浮かれた時代だったなと笑えてくるが、身分不相応のレストランを予約して、そこに失礼のない服を一日中考えていたことも悪くない思い出だ。時間と場所を約束して、夕暮れの街角で相手を待つ。まだ駅に伝言板があった。携帯がない時代の話である。